【猫はグルメなの? 猫と味覚の不思議なカンケイ】

こんにちは! ユウ動物病院です。

今日は、猫ちゃんの味覚のお話です。

わたしたち人間は、物を食べるときに、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「旨味」という5つの味を感じ取ることができます。
食べ物が口に入ると、舌にある「味蕾(みらい)」という味覚の受容体で味をキャッチされ、脳がそれを認識する、という仕組みです。

この味蕾細胞は舌や喉の奥などにあり、それぞれの味を感じやすい場所が決まっているそうです。味蕾は、赤ちゃんの時は10,000個程度あり、成人を迎えるにつれて徐々に減少し、7,500 個程度になると言われています。

一方、猫ちゃんはどうでしょう?

猫ちゃんの飼い主様の中には、「うちの子、決まったものしか食べないの」「療法食を食べさせたいのに残してしまって…」など、食べ物の好みで悩まれている方が多くいらっしゃいます。

その理由は、「味覚の数」と「味蕾の数」、そして「嗅覚」と言われています。

まず、猫ちゃんが感じ取れる味覚は、「酸味」「塩味」「苦味」の3つだけ。苦味に関しては、獲物や食べ物が腐敗していないかを感じるために発達したと言われており、味としてはとても苦手な部類に入ります。
また、「甘味」に関しては、本来猫ちゃんは肉食獣ですが、肉に甘味がほとんどないことから甘味に関する味蕾が発達しなかったという説があります。

さらに、猫ちゃんには、味蕾の数が500個ほどと言われており、成人の6~7%程度しかありません。

では、猫ちゃんはどうやって少ない味覚と少ない味蕾で食べ物を感じ取っているのでしょう。
答えは「嗅覚」。猫ちゃんは、匂いを確認して食べられるものを感じ取っています。自分にとって「いい香り」と感じるものを選ぶ傾向があります。
例えばホイップクリームが大好きな猫ちゃんがいたとしましょう。それを好んで食べたとしても、「甘い香り」が好きなだけで「甘味」自体は感じていない、ということになります。

そして、猫ちゃんの餌の「選り好み」は生まれつきではなく、成長段階で学んでいく「学習行動」ということがわかっています。
離乳が始まる頃からお母さん猫の真似をして食べ物に触れていき、フードの形や噛みごたえなどを学び、好き嫌いが決まっていきます。
一度食べ物の好みが決まると、なかなか「新しい食べ物」を受け入れることが難しくなってしまいます。

これらの理由が、「猫はグルメ」と言われる理由なのかもしれませんね。

猫ちゃんが食事を選ぶ基準は、
①香り・匂い ②食感・舌触り ③温度 ④見た目 と言われています。
特に、もともと肉食獣だった猫ちゃんは、体温程度の温かい食事を好みます。
フードを電子レンジで少し温めるだけでも、食いつきが良くなることもあります。

子猫のうちにさまざまなフードにトライしておくと、将来フードを変更しなければならない時などに「あの時やっておいてよかった~!」と思う日が来るかもしれませんね。