フィラリアの予防薬、いつまで飲む?

こんにちは! ユウ動物病院です。
今日は、フィラリアの予防薬についてお話しします。

「もうすっかり朝晩冷えるし、あげなくても大丈夫よね。」
そう思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、フィラリア症の予防薬
は、「今・この季節だからこそ」とっても大切なお薬なのです。
まず、フィラリア症について簡単にお話しします。

フィラリア症は、日本語で犬糸状虫症と言い、糸のような寄生虫が犬の心臓に寄
生し、咳が出る・呼吸が苦しい・食欲不振・元気喪失・腹水が貯まるなど、さま
ざまな症状を引き起こします。最悪の場合、命を落としてしまうこともあるとて
も恐ろしい病気です。

蚊は、動物の血を吸うときにフィラリアの子虫を体の中に入れ込みます。動物の
体の中でフィラリアは様々な段階を経て少しずつ成長し、最終的に心臓(右心室
や肺動脈)に住みつき、そこで幼虫を産み…と数を増やし続けます。フィラリア
の成虫の寿命は 5 年前後、長いものは 7~8年ともいわれます。フィラリアは、
動物の体の中で何年も悪さをし続けるのです。

この病気の唯一の救いは、予防ができること。内服薬・チュアブル・塗布薬・注
射など、さまざまな種類のお薬の中から選ぶことができ、しっかり投与すること
でフィラリア症とは無縁の生活を送ることができます。

注射の場合、多くは 1 年効果を発揮するものが多いので、接種さえ忘れなけれ
ばしっかり予防ができますね。

では、飲むタイプ・塗布するタイプのお薬は…とにかく飲ませ忘れのないように
することが大事。そしてもうひとつとても大事なのが、いつからいつまで飲ませ
るか=投与期間です。薬の飲ませ始めと飲ませ終わりが、フィラリア症予防の大
きなカギとなります。

フィラリアの予防薬には、蚊に刺された時に入り込んだ子虫が成長して血管や
心臓に移動する前に駆除する効果があります。もし蚊に刺されても、大きく成長
する前にやっつけてくれる、というわけです。

フィラリアの予防薬は、「飲めばフィラリア症にならない」のではなく、「フィラ
リアを成長させないためにしっかり駆除するためのお薬」なのです。ですから、
蚊を見かけなくなってから 1 ヶ月後あたりに予防の仕上げをしなければなりま
せん。

蚊の活動時期は、気温 15℃~30℃程度と言われています。日中の最高気温が
15℃を超える間、そして仕上げにプラス 1 ヶ月、ですのでおおよそ 4~11 月が
フィラリア予防薬の投与期間、となります。

朝晩冷え込むようになるとついついお薬を忘れがちになりますが、今この時期
だからこそしっかり投与をして、完璧なフィラリア症の予防をしましょう!

特に、近年の夏は酷暑で、蚊の活動のサイクルが乱れているとも言われていま
す。蚊を見かけたら「プラス1ヶ月」の投与をおこなうとよさそうです。